景観形成の歴史地理学
関東縁辺の地域特性
石井 英也(編・著)
概要
『景観形成の歴史地理学 —関東縁辺の地域特性—』は,筑波大学の石井英也先生(筑波大学教授)の退官記念論文集です。関東縁辺地域(那須野原,秩父,銚子,三浦半島)をフィールドとして,これらの地域に住む人々が各地の位置的・土地的条件を活用しながら,いかに今日に続く景観や特性を形成してきたのかを通時的,かつ全体構造的に解明しました。
説明
著者について
- 石井 英也:1944年栃木県生まれ。1972年東京教育大学大学院博士課程修了。現在筑波大学大学院人文社会科学研究科(歴史・人類学専攻)教授,理学博士。著訳書に『地域変化とその構造』,『地域と景観』(共著),『鹿沼市史 地理編』(共著),『人文地理学』(共訳),『ヨーロッパ』(共訳)など。
目次
I 総論
歴史地理学における地域研究の視点(石井 英也)
- 歴史地理学における野外調査の意味
- 歴史地理学における野外調査の留意点
- 地域変化とその構造
- 関東地方縁辺部の歴史地理学
II 那須野原
那須野原の概要(中西 僚太郎)
1.那須西原扇央部旧集落の生活様式の変遷~那須塩原市上横林地区を事例として~(中西 僚太郎・原田 洋一郎・住田 勝宏)
- はじめに
- 江戸時代~明治前期の生活様式
- 明治後期~第二次世界大戦期の生活様式
- 第二次世界大戦期以降の生活様式
- おわりに
2.西那須野における開拓集落の変容と地域的特色~那須開墾社開拓地を事例として~(椿 真智子・満田 宏子・幸田 一男・中嶋 則夫)
- はじめに
- 開拓集落の成立と展開
- 第二次世界大戦後の開拓集落の変容
- おわりに
III 秩父
秩父の概要(岡村 治)
1.小鹿野の町形成と商業の展開(岡村 治・川﨑 俊郎)
- はじめに
- 近世初期の小鹿野の町立て
- 近世中・後期の町の変質
- 近代小鹿野における商業活動の変化と蚕糸業
- おわりに
2.秩父山間集落の存立基盤とその変質~両神村薄を事例として~(六本木 健志・中嶋 則夫・新井 敦史)
- はじめに
- 戦国期における土豪の在地基盤
- 近世村域の確定と村内秩序の変動
- 複合的小農経営の展開~幕末・明治期を中心に~
- おわりに
3.秩父大宮の都市形成と商業の変遷(河野 敬一・川﨑 俊郎・田中 達也・山澤 学)
- はじめに
- 近世における秩父大宮の景観とその形成過程
- 近代における秩父大宮の市街地景観と商家
- 秩父大宮における他国商人の活躍
- おわりに
4.秩父の絹織物産業に関する一考察~江戸期から近代へ~(原田 洋一郎・平野 哲也)
- はじめに
- 江戸中後期の秩父絹に関わる生産と流通
- 江戸と秩父を結んだ人びと
- 明治初期~中期の秩父絹
- 秩父銘仙を支えた人びと
- おわりに
IV 銚子
銚子の概要(三木一彦)
1.港町銚子の機能とその変容過程~とくに興野地区の特徴形成と他国出身者の役割に着目して~(清水 克志・舩杉 力修・渡辺 康代・加藤 晴美)
- はじめに
- 銚子港の範囲と機能
- 近世における港町の形態と機能
- 近代における興野地区の変容
- おわりに
2.銚子飯沼地区における河岸の景観変遷と商業活動(山澤 学・阿部 綾子・山下 琢巳)
- はじめに
- 飯沼村の集落
- 河岸の形成・確立と商業活動
- 近代の再開発と商業活動
- おわりに
3.下総国海上郡高神村における紀州移民の動向(三木 一彦)
- はじめに
- 紀州移民の到来
- 紀州移民の変容と高神村
- おわりに
4.漁業集落における家族就業構造と女性のはたらき~銚子沿岸集落を事例として~(湯澤 規子)
- はじめに
- 銚子沿岸地域における就業構造
- 漁家経営の特徴と女性のはたらき
- むすびにかえて~家族就業構造の変化とその背景~
5.銚子市川口神社をめぐる漁業と信仰の変容(山下 須美礼)
- はじめに
- 19世紀前・中期における「龍蔵権現」と「川口明神」
- 船主と船方をめぐる信仰
- 川口神社と機関士の関わり
- 「水産都市」銚子における川口神社
- むすびにかえて
V 三浦半島
三浦半島の概要(山下 巳・清水 克志)
1.三崎におけるマグロ漁業根拠地の形成と商業活動の展開(山下琢巳・山下須美礼・双木俊介)
- はじめに
- 三崎における景観の変遷とその特徴
- 三崎における漁獲物と流通構造の変遷
- 他県出身者による三崎のマグロ漁業根拠地化
- 三崎における商業活動の特徴
- むすびにかえて
2.三浦半島南部における野菜生産地域の発展とその歴史的基盤~下浦を事例として~(清水克志・清水ゆかり)
- はじめに
- 三浦半島における野菜生産の概要
- 野菜生産発展の歴史的過程
- おわりに