ヨーロッパ統合時代のアルザスとロレーヌ
手塚 章・呉羽 正昭(編・著)
概要
『ヨーロッパ統合時代のアルザスとロレーヌ』は,ヨーロッパの一大拠点であるアルザス・ロレーヌ地方に着目し「統合ヨーロッパ」の実現を目指すべく行われる努力の実態・動向を捉える,気鋭の著者陣による論考集です。
説明
著者プロフィール
- 手塚 章:1951年神奈川県生まれ。筑波大学生命環境科学研究科教授,理学博士。
- 呉羽 正昭:1964年長野県生まれ。筑波大学生命環境科学研究科准教授,Dr. Phil。
目次
序章:ヨーロッパ中軸国境地帯の変容
- 1 中軸国境地帯の意味
- 2 フランス北東部の国境地帯
- 3 アルザスとロレーヌをめぐる地域概念の変遷
- 4 国境地帯におけるトランスボーダー化の進展
- 5 中軸国境地帯における空間的統合の展望と課題
第1部:アルザス地方
第1章:アルザス—フランスの周辺からヨーロッパの中心へ—
- 1 ヨーロッパ統合時代のアルザス
- 2 地域イメージの転換
- 3 将来にむけた地域整備戦略
- 4 アルザスの「切り札」と弱点
- 4−1 ヨーロッパのなかのアルザス
- 4−2 ストラスブールの都市イメージ
- 4−3 経済の多様性
- 4−4 社会的一体性
- 5 課題と展望
- 5−1 都市空間の再編成
- 5−2 共通する資源の管理
- 5−3 EU統合を制御する必要性
- 5−4 適切な空間管理の創造
第2章:多国籍企業の立地展開と地域経済
- 1 はじめに
- 2 フランスへの直接投資と多国籍企業
- 2−1 全体的な特徴
- 2−2 日本からの直接投資と日系企業の特徴
- 3 アルザス地域における多国籍企業の展開と地域経済
- 3−1 全体的特徴
- 3−2 ドイツ系企業の展開
- 3−3 北アメリカ系企業の展開
- 3−4 日系企業の展開
- 4 おわりに
第3章:アルザス地方の言語問題—地域言語の展開と現状—
- 1 はじめに
- 2 ヨーロッパ諸言語におけるアルザス語の位置
- 3 歴史的展開
- 4 1999年の言語調査にみるアルザス語
- 4−1 調査の概要
- 4−2 アルザス語と他の地域言語
- 4−3 アルザス語の現状
- 4−4 アルザス語の維持要因
- 5 おわりに
第4章:ストラスブール—国境都市からトランスボーダー都市へ—
- 1 都市イメージの転換
- 2 民族の境界と固化の境界
- 2−1 国境都市ストラスブールの形成
- 2−2 国境の港湾:ストラスブール港とケール港
- 3 ヨーロッパ統合時代の都市発展戦略
- 3−1 ヨーロッパ首都としてのストラスブール
- 3−2 ストラスブール・ケール軸の都市整備事業
- 3−3 トランスボーダーな都市計画への取り組み
- 4 課題と展望
第5章:バーゼル都市圏と越境地域連携
- 1 はじめに
- 2 越境地域連携の展開
- 3 越境地域連携の主体
- 3−1 越境地域連携の担い手
- 3−2 越境地域連携と企業
- 4 インターレグと越境地域連携
- 4−1 インターレグからみた地域性
- 4−2 インターレグと越境地域連携
- 4−3 インターレグと越境地域連携の自立
- 5 おわりに
第2部:ロレーヌ地方
第6章:ロレーヌ—重工業からヨーロッパ統合へ—
- 1 ヨーロッパ統合時代のロレーヌ
- 2 政治的空間ユニットの歴史的変化
- 3 ロレーヌの工業地域
- 4 南北にのびる都市ベルト
- 5 再編成される農村空間
- 6 課題と展望
第7章:ロレーヌ地域における産業転換過程
- 1 本章の課題
- 2 ロレーヌ鉱工業地域の形成と衰退
- 2−1 鉄鉱石採取および鉄鋼業の展開
- 2−2 産炭業の展開
- 2−3 産業および雇用の動態
- 3 産業転換政策の展開と産業遊休地整備
- 3−1 ロレーヌ地域における産業転換政策の展開
- 3−2 ポンペイ地区の整備事業
- 3−3 ロングウィ地区の整備事業
- 3−4 アルゼット地区の整備事業
- 4 産業転換の課題
第8章:グランドリージョン(Saar-Lor-Lux国境地域)における人口流動
- 1 はじめに
- 2 グランドリージョンにおける越境通勤流動
- 2−1 越境通勤流動の概要
- 2−2 受け入れ地域としてのルクセンブルク
- 2−3 送り出し地域としてのロレーヌ
- 2−4 ロレーヌからザールラントへの通勤移動
- 3 買い物のための流動
- 4 観光行動のための流動
- 5 おわりに
終章:統合ヨーロッパにおける国境地帯の将来と課題
- 1 文化地域としてのヨーロッパ
- 2 アルザスおよびロレーヌにおける国境地域の課題と展望
- 2−1 ドイツ人によるアルザスへの越境移住
- 2−2 ロレーヌおよびザールラントの自動車産業
- 3 スイスとEU
- 4 おわりに
あとがき