写真で読む地域の変貌 —西日本編—
穂積 修一(著・撮影)
概要
『写真で読む地域の変貌 —西日本編—』は,20世紀後半における日本国内の地域発展に伴う地理的地域景観を,30〜40年有余の時を経て定点観測した写真集の西日本編です。
説明
発刊にあたって
- 本書は20世紀後半に於ける日本国内の地域発展に伴う地理的地域景観を,30〜40有余の時を経て定点観測した写真集である。その背景となった時代 は,第2次世界大戦後の荒廃期を経て,大量生産,大量消費,浪費と飽食暖衣の生活を教授した日本経済の未曾有の高度成長期(1955-1972)で,世界 1・2位の経済大国として発展した時代である。
- しかし,この時代も1973年の狂乱物価・石油危機を境に終止符が打たれ下降,その後の一時期,バブル景気(1987-1989)を迎えたものの, 日本経済は長期低迷期に陥り,デフレ状態の中21世紀を迎えるに至った。こうした経緯のもとで,都市部への人口集中,地方の過疎化,地方都市の従来型商店 街の衰退,化学汚染物質・地球温暖化・生態系破壊などの深刻な事態を招き,日本人が世界に誇った精神風土・文化のアイデンティティーを見失い,日本各地に 分布する地域固有の文化の多くを失った時代でもあった。これからは地域固有の風土と人々によって育まれた特色ある文化を活かした景観を保全する知恵あ,地 域の活性化と魅力醸成への第一歩と考え,自然と人々のかかわり方を真摯に考え,自然環境の保全と共生を計り地域発展の有り様を模索する時代である。
- 本書の写真は「日本地誌」全21巻の口絵写真1,262枚から都道府県単位で精選した地域景観写真を基本とし,その景観を再度人の目線で定点撮影し た写真をもって対比観測できるよう構成した。加えて,人文地理的(系統的)視点を踏まえた諸事象と地域理解を助けるために参考となる資料写真を付し,さら に読者各位が臨場感を得られるように地形図を当該巻に配して,図上にはカメラアングルを示している。
著者プロフィール
- 穂積 修一:専門分野は地理学。1930年生ま れ。公立・私立高等学校において地域学習・巡検・視覚教育を実践。1981年豪日交流基金第7回Travel Grant(個人)受賞。日本地誌口絵担当ほか著書・共著・短報等多数。1996年日本大学高等学校・中学校定年退職。現在,日本大学評議員,日本大学校 友会監事。
目次
- 富山県:売薬モニュメント・五箇山 など8枚
- 石川県:竜香林坊・九谷焼窯元・千枚田 など17枚
- 福井県:大野の朝市・原子力発電所 など7枚
- 愛知県:名古屋市街・渥美半島・瀬戸の陶土採掘場 など17枚
- 岐阜県:柳ヶ瀬通り・白川郷・神岡鉱山 など11枚
- 三重県:輪中の郷・長島温泉・真珠養殖 など13枚
- 滋賀県:近江水郷・草津川・塩津の家並み など14枚
- 奈良県:大和郡山・環濠集落 など11枚
- 京都県:四条通・京友禅蒸工場・祇園 など12枚
- 兵庫県:神戸港・明石瓦・赤穂の東浜塩田 など28枚
- 大阪県:梅田地区・道頓堀筋・大阪港 など22枚
- 和歌山県:南部梅林・白浜海岸・潮岬の民家 など10枚
- 鳥取県:鳥取砂丘・製紙工場・深田土手 など6枚
- 島根県:平田市の妻入商家・小伊津漁港 など11枚
- 岡山県:倉敷の民家・瀬戸内海の漁村 など9枚
- 広島県:平和記念公園・漁民アパート・尾道 など9枚
- 山口県:下関漁港の魚市場・萩旧武家屋敷 など7枚
- 香川県:高松駅・屋島・壇ノ浦と五剣山付近の変容 など10枚
- 愛媛県:道後温泉・来島海峡第三大橋と馬島 など6枚
- 徳島県:大歩危渓谷・かずら橋・祖谷の山村 など7枚
- 高知県:高知市街・足摺岬・佐田の沈下橋 など10枚
- 福岡県:天神・中洲・筑豊炭田・門司港駅 など16枚
- 佐賀県:柿右衛門陶房・赤絵町・呼子の朝市 など9枚
- 長崎県:長崎市街・長崎港の出島・脇岬の漁業集落 など9枚
- 熊本県:五家荘の観光資源・人吉木材市場 など8枚
- 大分県:鉄輪温泉・九重連山と飯田高原 など6枚
- 宮崎県:ビニルハウス群・上椎葉地区 など6枚
- 鹿児島県:鹿児島市街・桜島・知覧茶の栽培地 など6枚
- 沖縄県:平和通り・コザの繁華街・摩文仁の丘 など11枚
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